みなさんはメタボリックシンドロームという言葉をご存知でしょうか?
このメタボリックシンドロームになると、脳梗塞・心筋梗塞等さまざまな生活習慣病のリスクが著しく高まることが解っていますが、厚生労働省の調査によると、実に、40~74歳までの男性の2人に1人、女性の5人に1人がこのメタボリックシンドロームの該当者ないしは予備軍と推定されています。
出典 厚生労働省 メタボリックシンドローム該当者・予備群の状況
今回は,このメタボリックシンドロームについて、みなさんが、毎年、受けられている健康診断の健康診断項目から簡単に自己診断できますので、そのやり方について詳しくお話してみたいと思います。
では、まず、そもそもメタボリックシンドロームとはどんな病気なのかからみていきましょう。
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームとは内蔵脂肪型肥満に高血圧、高血糖、脂質異常症のなかの二つ以上が重なったものをいいます。では、順を追って詳しく説明していきましょう。
まず、脂肪細胞はさまざまな物質を分泌していますが、その中にアディポサイトカインという物資があります。このアディポサイトカインには善玉アディポサイトカインと悪玉アディポサイトカインの2つがあり、それぞれ次のような働きをしています。
善玉アディポサイトカイン
- インスリンを効きやすくして、血糖値を下げる
- 血圧を下げる
- 動脈硬化を、直接、抑制する
悪玉アディポサイトカイン
- インスリンを効きにくくして、血糖値を上げる
- 血圧を上げる
- 血栓を作りやすくする
内臓脂肪を過剰に蓄積すると、脂肪細胞の機能に狂いが生じて、善玉アディポサイトカインの分泌が減り、悪玉アディポサイトカインの分泌が増えてしまいます。すると、それにつれて、血糖値が上がり、血圧も上がっていくことになります。
また、内臓脂肪が過剰に蓄積すると、血液中に中性脂肪が増え、反面、善玉コレステロールが減ってしまいます。
こうして、内臓脂肪の過剰な蓄積が高血糖、高血圧、脂質異常症を引き起こす段階まできてしまうと、メタボリックシンドロームが発症してしまうというわけです。
そして、このメタボリックシンドロームになると、高血糖、高血圧、脂質異常、善玉アディポサイトカインの減少等の要因が折り重なって、動脈硬化が加速度的に進行し、様々な動脈硬化性疾患を引き起こしてしまいます。
では、続けて、メタボリックシンドロームになると、どのような動脈硬化性疾患のリスクがどの程度高まってしまうのか、みていきましょう。
メタボリックシンドロームの危険性
では、具体的に、メタボリックシンドロームになると、どのような動脈硬化性疾患のリスクがどの程度高まってしまうのか、4つのリスク要因を自分自身に照らし合わせて考えましょう。
4つのリスク要因
- 内臓脂肪型肥満
- 高血圧
- 高血糖
- 脂質異常症
それぞれのリスク要因に該当する項目を足していきます。その結果0~4個のリスク要因数になります。
合計したリスク要因数を下記にある一覧と照らし合わせると、リスクが何倍であるかを判断できます。
危険因子の個数と冠動脈疾患(心筋梗塞等)の関係
- リスク要因0個 1として
- リスク要因1-2個 3.5倍
- リスク要因3-4個 8倍
危険因子の個数と脳血管障害(脳梗塞・くも膜下出血等)の関係
- リスク要因0個 1として
- リスク要因1-2個 2.6倍
- リスク要因3-4個 5倍
このように様々な生活習慣病のリスクを高める恐ろしい病気であるメタボリックシンドロームですが、みなさんが、毎年、受けられている健康診断の健康診断項目から簡単に自己診断することができますので、続けてみていきましょう。
健康診断項目からみたメタボリックシンドロームの診断基準
まず、注目するのは次の6つの健康診断項目です。
注目する6つの健康診断項目
- 腹囲
- 中性脂肪値
- HDLコレステロール値
- 最高血圧(収縮期血圧)
- 最低血圧(拡張期血圧)
- 空腹時血糖値
続けて、各条件ごとの具体的な診断基準をみていきましょう。
内臓脂肪型肥満
- 腹囲が、男性85cm以上・女性が90cm以上
脂質異常症
- 中性脂肪値 150mg/dl以上
- HDLコレステロール値 40mg/dl未満
※この2つのうちの両方またはいずれか一つ
高血圧
- 最高血圧 130mmHg以上
- 最低血圧 85mmHg以上
※この2つのうちの両方またはいずれか一つ
高血糖
- 空腹時血糖値 110mg/dl以上
そして、以上の診断基準のうち、1つもしくは2つ該当すればつぎのような結果になります。
- 内臓脂肪型肥満+脂質異常症・高血圧・高血糖のうちの1つならメタボリックシンドローム予備軍
- 内臓脂肪型肥満+脂質異常症・高血圧・高血糖のうちの2つならメタボリックシンドローム
まとめ
いかがだったでしょうか?
メタボリックシンドロームはみなさんが、毎年、受けられている健康診断の健康診断項目から簡単に自己診断することができます。
一度、実際に確認してみられて、生活の改善のための目安にしてみられてはいかがでしょうか?