風があたっただけでも痛いと言われるほど酷い痛みに襲われる「痛風」ですが、厚生労働省の国民生活基礎調査(平成28年版)によれば、実に日本人男性の約2割がこの痛風が原因で医療機関を受診しています。
参照厚生労働省:平成28年 国民生活基礎調査 統計表
このように、私達にとって大変身近な痛風ですが、実は、DHA・EPAにはこの痛風を予防・改善するすばらしい働きがあることをみなさんはご存知でしたでしょうか?
今回はこのDHA・EPAと痛風の関係について詳しくみていきたいと思います。
痛風とは?その原因・症状etc.
痛風とは高尿酸血症の結果としておこる関節炎のことをいいます。
この痛風の定義からもわかるように痛風は尿酸値と深い関係があります。では、尿酸値とからめつつ、痛風発症のメカニズムをみてみましょう。
痛風発生のメカニズム
- 運動不足、食生活の乱れ、アルコールの過剰な摂取等の生活習慣の乱れが原因となって、血液中の尿酸が増えすぎます
- 増えすぎた尿酸が、結晶化し、関節や腎臓に沈着します
この様に、関節に沈着した尿酸の結晶によって、関節に炎症が引き起こされ、痛風が発症します。
そして、痛風が発症すると、特に親指の付け根等が赤く腫れあがり、酷い痛みをともないます。これを痛風発作といいます。
この痛風発作は通常10日程でおさまりますが、それをよいことにそのまま放置しておくと発作が繰り返され慢性化したり、尿路結石や痛風腎といった合併症を発症してしまうこともありますので、注意が必要になります。
このように、一度発症してしまうと、酷い痛みをともなう発作が何度も繰り返される痛風ですが、DHA・EPAには、この痛風の原因となる尿酸値を下げ、痛風を予防・改善する働きがあります。
では、なぜ、DHA・EPAにはこのような働きがあるのでしょうか?
続けて、DHA・EPAが、尿酸値を下げ、痛風を予防・改善する理由について詳しくみていくことにしましょう。
DHA・EPAが痛風を予防・改善する理由
まず、痛風の原因となる血液中の尿酸が増えすぎてしまう原因としては主に次の3つが考えられます。
- 腎臓の機能低下により、血液中の尿酸が尿として十分に排出されなくなってしまう
- 代謝されて、最終的に尿酸となるプリン体を過剰に摂りすぎている
- 体内におけるプリン体の合成が過剰に亢進している
体内に存在するプリン体のうち、体外から摂取されたものは2割程度で、残りの8割は体内で合成されたものだといわれています。
したがって、プリン体を多く含む食品については、もちろん注意は必要ですが、それほど神経質になる必要はありません。
それよりも、問題なのは、内臓脂肪型肥満によって、体内におけるプリン体の合成が亢進(※高ぶり進む)してしまうことです。
内臓脂肪型肥満のリスク
内臓脂肪型肥満になると、肝臓における中性脂肪の合成が亢進しますが、これにともなって、肝臓におけるプリン体の合成も亢進します。
また、内臓脂肪型肥満になって、インスリン抵抗性が生じることによっても、肝臓におけるプリン体の合成が亢進することがわかっています。
そして、この他にも、さらに、内蔵脂肪型肥満になると、腎臓の尿酸を排出する機能が衰え、血中の尿酸値が上昇することになります。
すなわち、内臓脂肪型肥満によって、インスリン抵抗性が生じ、高インスリン血症になると、腎臓におけるナトリウム再吸収の亢進を介して、尿酸の再吸収が亢進され、腎臓における尿酸の排出機能に障害が生じるのです。
参考東京薬科大学 病態生理学教室「高尿酸血症とメタボリックシンドローム」
痛風患者の実に約4割がメタボリックシンドロームを発症していることからもわかるように、痛風とメタボリックシンドロームは切っても切れない深い関係にあります。
参考厚生労働省 e-ヘルスネット「高尿酸血症」
DHA・EPAの働き
そして、DHA・EPAは次の2つの働きで、尿酸値を下げ、痛風を予防・改善します。
- 中性脂肪の減少
- インスリン抵抗性の改善
1.中性脂肪の減少
DHA・EPAは次の3つの働きで中性脂肪を減らします。
- リポタンパクリパーゼ(脂肪分解酵素)を活性化して、脂肪の分解を促進します
- 肝臓における中性脂肪の合成を、直接、抑制します
- 腸における中性脂肪の吸収を抑制します
中性脂肪が過剰になると、血中の遊離脂肪酸が増え、これが肝臓に運ばれて、中性脂肪の合成を亢進してしまいます。
DHA・EPAは、中性脂肪を減らし、血中の遊離脂肪酸を減らすことで、肝臓における中性脂肪の合成の亢進とそれにともなうプリン体の合成の亢進を抑制する働きがあるというわけです。
2.インスリン抵抗性の改善
また、DHA・EPAにはインスリン抵抗性を改善する働きがあることもわかっています。
DHA・EPAは、インスリン抵抗性を改善することによって、腎臓の尿酸排出機能を高めるとともに、肝臓におけるインスリン抵抗性を原因とするプリン体の合成の亢進を抑制する働きがあるというわけです。
以上がDHA・EPAが痛風の予防・改善に効果的だとされる理由になります。
まとめ
DHA・EPAが痛風の予防・改善に効果的だとされる理由について詳しくみてきました。
健康診断等で尿酸値が高く、痛風が心配な方は是非、DHA・EPAを積極的に食生活に取り入れていただけたらと思います。
ただ、仕事や付き合い、育児等で食事から摂るのはなかなか難しいという方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合には、DHA・EPAサプリでも天然由来の成分が使われています。
食事から摂った場合と効果は全く変わりませんので、転ばぬ先の杖として、上手にサプリを活用してはいかがでしょうか。