DHA・EPAというと、生活習慣病の予防に効果的であることは一般によく知られていますが、実は、うつ病の予防にも効果的であることを、みなさんはご存知でしたでしょうか?
今回は、このうつ病の予防とDHA・EPAの関係について詳しくお話していきたいと思います。では、まず最初に、うつ病とはいったいどんな病気なのか簡単におさらいしておくことにしましょう。
うつ病とは?その現状、原因、症状
厚生労働省の調査によれば、近年、うつ病が原因で医療機関を受診する患者の数は、増加傾向にあり、実に、年間、100万人にのぼります。
参照厚生労働省:みんなのメンタルヘルス 総合サイト「精神疾患のデータ」
このように、ストレス社会と呼ばれる現代社会において、私達にとって、ごく身近な病気であるうつ病ですが、なぜ私達はうつ病になってしまうのでしょうか?その原因については、まだあまりよくわかっていませんが、おおむね次のように考えられています。
うつ病は、うつ病になりやすい性格や体質等の内的要因に、ストレス等の外的要因がくわわり、その結果、脳内におけるセロトニン等の神経伝達物質の量が減少することによって引き起こされます。
そして、うつ病になると次のような辛い症状があらわれてきます。
精神症状
- 抑うつ気分
- 不安、焦り
- 遠くに行きたい、消えてしまいたい
- 興味や喜びの喪失
- 意欲の低下、おっくう感
- 自責
- 思考力や集中力の低下
身体症状
- 睡眠障害
- 食欲の減退、過食
- 疲労感、倦怠感
- 動悸
- 息苦しさ
- 口がかわく
- 頭痛
- 吐き気
- 肩のコリ
このように、辛く、ときに自殺にまでいたってしまう恐ろしい病気であるうつ病ですが、DHA・EPAには、このようなうつ病を効果的に予防する働きがあることがわかっています。
では、なぜ、DHA・EPAにはうつ病を予防する働きがあるのでしょうか?続けて、詳しくみていくことにしましょう。
DHA・EPAがうつ病の予防に効果的な理由
DHA・EPAは次のような作用でうつ病を予防します。
- 抗炎症作用
- 疫を正常化する作用
- 脳内の神経細胞の細胞膜を柔らかく保って、神経細胞間の情報伝達をスムーズにする作用
- 脳内でセロトニン等の神経伝達物質を増やす作用
- 活性酸素や過酸化脂質等の酸化ストレスから脳細胞を保護する作用
DHA・EPAが、なぜ、うつ病の予防に効果的なのかについては、まだ、世界中で研究されている段階で、なかなかはっきりとしたことはわかっていませんが、一応、上記のことが関係しているのではないかといわれています。
では、続けて、DHA・EPAを豊富に含む魚介類を摂取することがうつ病の予防に効果的であることを、初めて明らかにした画期的な最新の疫学的な研究結果がありますので、ご紹介したいと思います。
国立がん研究センターと慶応大学による疫学的な調査結果
これは国立がん研究センターと慶応大学が合同でおこなった疫学的な調査になります。
研究チームは、1990年から2015年まで長野県佐久保健所管内に住んでいた40~59歳の約1万2000人のうち、2014年から2015年にかけて実施された「こころの検診」に参加した1181人を追跡調査しました。
アンケートに基づいて、魚介類及びオメガ3系脂肪酸の摂取量に応じて、これを4つのグループにわけ、解析したところ、次のような興味深いことがわかりました。
- 魚介類の摂取量が多かったグループ(111g/日)は、魚介類の摂取量が最も少なかったグループ(57g/日)にくらべて、うつ病の発症リスクが6割近く低かった
- α-リノレン酸とうつ病の発症リスクとの間には有意な関連性はみられなかった
- EPAの摂取量が多かったグループ(307mg/日)は、EPAの摂取量が最も少なかったグループ(200mg/日)にくらべて、うつ病の発症リスクが5割近く低かった
- DHAの摂取量が多かったグループ(123mg/日)は、DHAの摂取量が最も少なかったグループ(67mg/日)にくらべて、うつ病の発症リスクが6割近く低かった
参照国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター「魚介類・n-3系不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について」
この論文は、2017年9月に発表されたもので、まさに、最新の研究によって、DHA・EPAがうつ病の予防に効果的なことがあきらかにされたというわけです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、DHA・EPAとうつ病の予防の関係について、詳しくみてきました。
ご紹介した国立がん研究センター等の研究結果からも、おわかりいただけるかと思いますが、DHA・EPAはうつ病の予防にとても効果的です。
ストレス社会といわれ、実に15人に1人がうつ病になってしまう現代社会において、食事の改善によりDHA・EPAの摂取をすることは有効な対策のひとつと言えます。
しかし、家事、育児、仕事等が忙しく、それが難しいような場合には、サプリメントからDHA・EPAを摂取しても、食事から摂取すると同様に天然由来の成分が配合されているので安心です。
上手にサプリを活用することで、積極的にDHA・EPAを摂り、うつ病の予防に役立てていただけたらと思います。