みなさんもご存知のようにDHA・EPAには生活習慣病の予防等さまざまなすばらしい健康効果があります。
しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしと言われるように、DHA・EPAも過剰に摂りすぎてしまうと、副作用が生じてしまう場合もあります。
そこで、今回は、DHA・EPAの1日当たりの適切な摂取量の目安とその過剰摂取のリスクについて、お話したいと思います。
目次
DHA・EPAの1日当たりの適切な摂取量の目安
この点で、まず参考になるのは厚生労働省の「日本人の食事摂取規準(2015年度版)」で定める1日当たりの摂取の目安量(摂取不足を回避するための十分な量)です。
α-リノレン酸・DHA・EPA等オメガ3系脂肪酸全体での目安量となりますが、次のように定められています。
オメガ3系脂肪酸全体での1日当たりの摂取の目安量
年齢 | 男性 | 女性 |
18-29歳 | 2,000mg | 1,600mg |
30-49歳 | 2,100mg | 1,600mg |
50-69歳 | 2,400mg | 2,000mg |
70歳以上 | 2,200mg | 1,900mg |
参考厚生労働省「日本人の食事摂取基準(平成15年度版)」より
また、厚生労働省は、「日本人の食事摂取規準(平成10年度版)」では、生活習慣病の予防という観点から、DHA・EPA単独での摂取の目標量を次のように定めていました。
DHA・EPAの摂取目標量
年齢 | 男性 | 女性 |
18-29歳 | 1,000mg以上 | 1,000mg以上 |
30-49歳 | 1,000mg以上 | 1,000mg以上 |
50-69歳 | 1,000mg以上 | 1,000mg以上 |
70歳以上 | 1,000mg以上 | 1,000mg以上 |
参考厚生労働省「日本人の食事摂取基準(平成10年度版)」より
以上から、男女ともに、1日当たり、1gすなわち1,000mg程度のDHA・EPAの摂取が望ましいと考えられます。
では、実際、これを達成するためには、どれくらいの量の魚を食べればよいのでしょうか?
続けて、DHA・EPAを1g摂るために食べる必要のある魚の具体的な量とあわせてDHA・EPAを豊富に含む食品についてお話していきたいと思います。
DHA・EPAが豊富な食品と食べる量の目安
人間が1日に必要なDHA・EPAを摂取するためには、どれくらいの量の魚を食べれば良いのでしょうか?
また、DHA・EPAを豊富に含む食品にはどんなものがあるのかを検証します。
DHA・EPAを1g摂取するために必要な魚介類
DHA・EPAを1gすなわち1,000mg摂るためには、おおむね次の量の魚介類を食べる必要があります。
- アジのひらき 0.7枚
- さんまの塩焼き0.4尾
- サバの煮つけ 0.3~0.8切れ
- ブリ(ハマチ)の刺身 4.7切れ
- カツオ(秋獲れ)のたたき 9.1切れ
- 焼き鮭 0.5~1.9切れ
参考水産庁:水産白書(平成24年度版)「日本人の健康的な食生活を支える水産物」より
また、DHA・EPAは次のような食品に豊富に含まれています。
DHAが豊富に含まれる食品
食品名 | 含有量(可食部100g当り) |
クロマグロ(生・脂身) | 3,200mg |
ブリ(生) | 1,700mg |
サンマ(生) | 1,600mg |
カツオ(秋獲り、生) | 970mg |
ハマチ(養殖・生) | 910mg |
EPAが豊富に含まれる食品
食品名 | 含有量(可食部100g当り) |
クロマグロ(生・脂身) | 1,400mg |
ブリ(生) | 940mg |
サンマ(生) | 850mg |
マイワシ(生) | 780mg |
マサバ(生) | 690mg |
また意外と缶詰にもDHA・EPAは豊富に含まれています。
DHAが豊富に含まれる缶詰
食品名 | 含有量(可食部100g当り) |
さんまの味付きの缶詰 | 1,700mg |
さばの水煮の缶詰 | 1,300mg |
さばの味噌煮の缶詰 | 1,500mg |
さばの味付きの缶詰 | 1,500mg |
いわしのかば焼きの缶詰 | 1,400mg |
EPAが豊富に含まれる缶詰
食品名 | 含有量(可食部100g当り) |
いわしのかば焼きの缶詰 | 1,800mg |
いわし味付きの缶詰 | 1,400mg |
さんま味付きの缶詰 | 1,000mg |
さば味付きの缶詰 | 1,100mg |
さば味噌煮の缶詰 | 1,100mg |
参照文部科学省「日本食品標準成分表2015年度版脂肪酸成分表」
みなさんには、以上を参考にしながら、是非、DHA・EPAを積極的に摂っていただきたいと思うのですが、ただ、DHA・EPAがいくら健康によいとは言っても、摂りすぎれば逆効果になってしまう場合もあります。
そこで、続いて、DHA・EPAの過剰摂取のリスクについてお話していきたいと思います。
DHA・EPAの過剰摂取のリスクとは?
まず、1日当たりどのくらいの量のDHA・EPAを摂ると、過剰摂取になってしまうのでしょうか?
この点、欧州食品安全機関では1日5g、アメリカ食品医薬品局では1日3g程度の摂取であれば、なんら問題はないとされています。
ただ、欧米人と日本人では体格が違いますので、日本人の場合には1日3g程度の摂取に留めておくのがよいでしょう。
そして、これをこえて、DHA・EPAを過剰に摂取し続けていると、次のような副作用が起こる危険性があります。
- げっぷ
- 吐き気
- 下痢
- 鼻血
このように、DHA・EPAも摂りすぎれば、副作用もありえます。
ただ、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(平成15年度版)」によれば、日本人のDHA・EPAの摂取量の現状は、1日当たり、成人男子で320mg、成人女子で230mgと、摂取の目安量1,000mgにすら遠く及んでいません。
現状では、過剰摂取よりも、むしろ摂取不足を心配した方がよさそうです。青魚等魚介類を積極的に食事に取り入れて、DHA・EPAが不足しないように気をつけましょう。
まとめ
生活習慣病の予防等DHA・EPAにはさまざまなすばらしい健康効果がありますが、やはり摂りすぎはよくありません。
ただ、日本人のDHA・EPAの摂取量の現状をみると、やはり過剰摂取よりも、むしろ摂取不足の方が深刻です。
基本は食事から、ただ、仕事・育児等さまざまな理由から食事からのDHA・EPAの摂取が難しいことも事実です。
そのような場合には、DHA・EPAサプリでも、そのほとんどには天然由来のDHA・EPAが配合されています。
効果は食事から摂った場合と全く同じなので、サプリを活用することで、DHA・EPAを積極的に摂取していただけたらと思います。