血液のネバネバドロドロとした粘着性を増やして、血栓をできやすくしてしまうのが中性脂肪です。高中性脂肪血症に気を付けないといけないのはなぜでしょうか。
高中性脂肪血症の発生と影響
高中性脂肪血症が進行すると、血液の流れがサラサラと流れなくなり、血栓という血の塊が発生しやすくなります。
これが動脈硬化で狭くて細くなった血管の中に局所的に溜まっていくと、血流をそこで止めてしまいます。これが塞栓という状況なのです。
ちょうど、排水口にドロドロとしたゴミや髪がたまって水をそこで止めてしまうような、パイプの詰まりのような状況だと思って下さい。
血小板の作用
そもそもなぜこのようなことになるのでしょうか。血液には血小板というものがあります。例えば出血した場合には血を止めるための血小板と血を固める酵素が、それから逆に血を固まらせず、溶かす酵素の両方が血には含まれています。
意外かもしれませんが、血管の中では小さな血栓はいつも発生しています。パイプの汚れと同じです。その度に酵素が血栓を溶解する作用をしているのです。
健康な人の場合ならば凝固酵素と溶解酵素の両方の力関係のバランスが良いのですが、中性脂肪が多いとPAI-1(パイワン)という物質が増大するのです。
脂肪細胞が作り出すこのPAI-1は血液溶解酵素の働きを止める作用があります。高中性脂肪血症の人の血液には、健康な人の数と比べると約3倍もPAI-1があります。
ですから血栓溶解酵素の作用が阻害されて血栓が溶けないので、大きさが増幅するのです。最終的に血栓が詰まることで心筋梗塞や脳梗塞などの重病の発症する危険性が上がってしまうわけです。
このようなことから、高中性脂肪血症も高コレステロール血症などと同様に、生活習慣病の危険因子なのです。動物性脂肪の多い食品を食べ過ぎたりアルコール飲料の飲み過ぎなど、不規則な生活習慣による高脂血症を二次性、又は続発性高脂血症と呼ばれます。
高中性脂肪血症だから心配すべきこと
これらのことからも気を付けるべきは高脂血症や動脈硬化であり、血管が閉塞しないことを心掛けないといけません。
慢性的な生活習慣病の要因を絶ち、健やかな血管を維持しましょう。食事や運動面で今までの生活を見直す時がまさに今、40代、50代なのです。健康診断の結果を真摯に受け止めましょう。
食事で血栓予防
血栓を溶かすナットウキナーゼ 血栓防止、高血圧予防に優れた能力を持つナットウキナーゼは日本人の味方です。
また、たまねぎも血栓を防ぎ、動脈硬化予防、脳卒中・心筋梗塞予防、抗がん作用がありますので積極的に食べて欲しい食品です。
豆腐は高脂血症予防、動脈硬化予防、高血圧予防、骨粗しょう症予防、糖尿病予防など、生活習慣病のありとあらゆるものに効果的ですので夏は冷や奴、冬は湯豆腐など、豆腐料理を楽しみましょう!
インスリンは高血糖だけじゃない!
インスリンといえば糖質に関連するものですが、実はインスリンには血糖を下げるだけではなくて肝臓で脂肪の合成を助けたり、脂肪の分解を促進する作用もあります。
インスリンは基礎分泌と言って常に出続けています。もしインスリンが減ると中性脂肪が利用されにくくなり、血中に中性脂肪がたまって、高中性脂肪血症となります。
さらに中性脂肪が分解されないためにHDLがつくられなくなり、血管の端々で余分になったコレステロールを適切に回収しにくくなって、動脈硬化がますます進んでしまうことになります。
重症高中性脂肪血症になる前に
単なる高中性脂肪血症だと思っていても、それは実は糖尿病が原因であることがあります。高中性脂肪血症になると、さらに動脈硬化を促進することになるわけですから、重症化する場合があります。
生活習慣からおこるⅡ型糖尿病の治療は食事と運動が大事ですから、多々、高脂血症と共通することがあります。
最後に
1日や2日で重篤な病気となるわけではないからこそ一層、忍び寄る生活習慣病の怖さ。
高中性脂肪血症はメタボリックシンドロームの予防療法を早くから始めることで食い止められますので、明日からと言わず、今日から始めましょう。
特にすぐにでも始められるのは食事の改善が一番です。血液に良い作用のある食事を心がけましょう。同時に早期の改善を目指すのであれば、サプリメントの併用が効果的になります。
特にDHA・EPAやナットウキナーゼなどが血液環境を整えるには優れているので、率先して摂取すると良いでしょう。