食物繊維は健康に良いと言われます。食物繊維とは、食べても消化されないで大腸まで行く食品の栄養成分です。体の腸内の健康だけでなく、血管などの健康にも良い働きをすることから、最近では食物繊維は第6の栄養素とも言われています。
食物繊維の種類
食物繊維は大きく分けて、水にとける水溶性食物繊維と、水にとけない不溶性食物繊維の2種類があります。食品には各々入っていますが、それぞれの役割と効能を知って、体調に合わせて目的にあう食べ物を選びましょう。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は野菜や、海苔やワカメなどの海藻類や大豆などの豆類、さつまいもなどの芋類、他にもごぼうなどの根菜類、キノコ類などに多く含まれています。
海藻類に関しては水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の総量でしか計測できないため、総量で考えます。しかし、総量では他の食品と比較しても多いことが分かります。
水溶性食物繊維の多い食物 | 食品100g当たりの含有量(単位g) |
海藻類(ワカメ) | -(総量32.7) |
野菜(エシャロット) | 9.1 |
穀類(大麦/オートミール) | 6.0/3.2 |
豆類(豆きんとん/納豆) | 4.3/2.3 |
芋類(マッシュポテト/サツマイモ) | 2.5/1.1 |
根菜類(ごぼう) | 2.7 |
キノコ類(干し椎茸) | 3.0 |
水にとけるので粘着性があり、胃腸内をゆっくり移動するためにおなかがすきにくく、満腹感を得やすいので、お腹いっぱいで食べすぎによる肥満の予防に役立ちます。さらに水溶性食物繊維は食べたものをドロドロにして便の水分量やかさをふやし、便通を促してくれます。
有害な物質の余分な脂質、糖、ナトリウム 、さらにコレステロール、発がん性物質の吸収なども阻害します。脂っこいもの、甘いものなどのとりすぎによって起こる肥満、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、高血圧などの生活習慣病を防いだり、改善したりする効果が期待できます。
また、食物繊維のおかげでブドウ糖の吸収が穏やかになりますから、食後の急激な血糖値の上昇を防ぐ働きが期待できます。
不溶性食物繊維
実は、食物には不溶性食物繊維が含まれていることが多いのですが、不溶性食物繊維は水を吸収して腸の中で膨らんでカサを増やす役割を持っています。
いんげん豆のような豆類、乾燥したきくらげ、干し椎茸などには非常に多いです。
不溶性食物繊維の多い食物 | 食品100g当たりの含有量(単位g) |
穀類(とうもろこし) | 8.4 |
豆類(いんげん豆/ひよこ豆) | 11.8/11.1 |
キノコ類(乾燥きくらげ・干し椎茸) | 57.4/38.0 |
芋類(マッシュポテト) | 4.1 |
木の実(アーモンド・ごまなど) | 11.3/10.1 |
不溶性食物繊維を含む食べ物は満腹感を得やすく、食べすぎによる肥満の予防に役立ちます。胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激するため、便通が促され、宿便がなくなります。
腸内で分解や発酵すると、ビフィズス菌などのお腹に良い菌がふえ、腸内環境がきれいになりますので、大腸がんなどの予防にもなります。
食物繊維のとり方
有害な物質が体外に排出される力をデトックス効果と言います。このデトックスが強いと脂肪やコレステロールを溜め込まない体になり、肥満になりにくい体になれるのです。
食物繊維のデトックス効果を発揮するための効果的なとりかたは、不溶性食物繊維が2〜4に対して、水溶性食物繊維が1くらいの割合がよいでしょう。便通からしますと、2対1、そうでなければ3,4くらいが良いでしょう。
水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も食品にはそれぞれ含まれていますので、大雑把に言えば、一日20グラムくらいの食物繊維を取れば、高血圧や糖尿病、ガンなどの深刻な疾病対策に効果があると思って下さい。
注意点
食物繊維は通常の食生活では食物繊維をとりすぎることはありませんが、健康食品などで不自然に大量にとると、ミネラル類などの吸収が妨げられることもあるので、とりすぎには注意が必要です。
また、水分をあわせてきちんと取って下さい。水分が食物繊維を大腸まで届きやすくしてくれます。
最後に
食物繊維は体内に有害な発がん性物質や悪玉コレステロール、ナトリウムなどの吸収を阻害、排泄をしてくれるまさに肥満に悩む中高年の方にぜひとってほしい食品です。
食物繊維は伝統的な日本食に多く含まれるものですから、献立を少し欧米食から日本食へ見直すだけでも食物繊維を多くとれます。スーパーでおなじみのごぼうサラダや納豆を買い足すなどして、食物繊維の摂取量を増やしましょう。