誰もが健康に長生きしたいと思っているものですよね。その意味で、生活習慣病の中でも、アルツハイマー病は本当におそろしい病気の一つになります。
ところで、みなさんは、最近の研究によって、実は、このアルツハイマー症の予防にもDHA・EPAが効果的なことがわかってきたことをご存知でしたでしょうか?
というわけで、今回は、最新の研究報告をまじえつつ、DHA・EPAとアルツハイマー症の予防との関係についてお話ししてみたいと思います。
では、まず最初に我が国におけるアルツハイマー症の現状からみていくことにしましょう。
目次
我が国におけるアルツハイマー症の現状
厚生労働省の発表によると、65歳以上の高齢者について、2012年時点で、認知症の人は全国で462万人おり、高齢者のほぼ7人に1人、さらに認知症予備軍(軽度認知障害)の人も全国で約400万人いて、両方を合わせると、実に、高齢者のほぼ4人に1人が認知症ないしはその予備軍とされています。
そして、2025年には、認知症の人は、700万人を超え、高齢者のほぼ5人に1人に達すると推計されています。
参考 厚生労働省:「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジブラン)」(概要)より
そして、アルツハイマー症は、認知症の中でも、その割合が減りつつある脳血管障害を原因とする認知症にくらべて、年々、その割合を増やしており、現在では認知症のほぼ50%を占めていると考えられています。
このようにもはや他人ごとではすまされないアルツハイマー症ですが、では、どうすれば、このアルツハイマー症を予防することができるのでしょうか?続いて、アルツハイマー症を予防するための基本的な予防法についてみていきましょう。
アルツハイマー症の基本的な予防方法
恐ろしいアルツハイマー症ですが、実は、その発症の10年~20年程前からすでにその前兆があらわれ、軽度認知障害の段階であれば、その症状を改善し、アルツハイマー症の発症を予防できることがわかっています。では、アルツハイマー症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?そのためには次の3つが重要になります。
アルツハイマー予防3原則
- 適度の運動
- 十分な睡眠
- 食生活の改善
では、いよいよ、3原則の中の一つ、食生活の改善に関係して、DHA・EPAとアルツハイマー症の予防との関係についてみていくことにしましょう。
DHA・EPAがアルツハイマーの予防に効果的な理由
まず、1991年に発表された研究によって、アルツハイマー症の発症に深くかかわっている海馬について、アルツハイマー症で亡くなった人の海馬付近のDHAの含有量は7.9%だったのに対して、それ以外の理由で亡くなった人の海馬付近のDHAの含有量は16.9%だったことがわかっています。
亡くなった原因 | 海馬付近のDHA含有量 |
アルツハイマー症 | 7.9% |
それ以外の理由 | 16.9% |
そして、このことから、DHAがアルツハイマー症の発症を抑制するのではないかと考えられるようになり、世界中で研究が進められてきました。では、それらの研究の中からいくつかの研究をご紹介しましょう。
研究例1 アルツハイマー発症リスクの差
アメリカで65歳から94歳までの815人を7年間追跡調査した結果、DHA・EPAを豊富に含む魚を週一回以上食べていた人は魚を全くまたはほとんど食べなかった人にくらべてアルツハイマー症の発症リスクが60%少なかった。
研究例2 認知機能低下の差
また、アメリカ国立保健研究所の1043人対象とする研究でも、研究期間中、オメガ3系脂肪酸のサプリを摂取していた人は、そうでなかった人にくらべて、認知機能の低下が有意に抑制され、また、脳の萎縮も有意に抑制されていたことが確認されました。
この他にもさまざまな研究報告がなされており、DHA・EPAがアルツハイマー症の予防に効果的なことがわかっています。
そのメカニズムについては、残念ながら、まだよくわかっていないことも多いのですが、DHAを摂取することで、アルツハイマー症の予防・改善に役立つとされるNGF(神経成長因子)が増えることがわかっています。
なお、DHAは、単独で摂るよりも、EPAと一緒に取った方が、アルツハイマー症の予防に効果的だと言われています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、DHA・EPAとアルツハイマー症の予防の関係について、最新の研究をまじえながら、お話してきました。
アルツハイマー症が心配な方は、食事から、しかし、食事から摂ることが難しいような場合には、DHA・EPAはサプリから摂っても食事から摂った場合と効果は変わりませんので、サプリを活用なさって、積極的に食生活にDHA・EPAを取り入れられてみられてはいかがでしょうか?