目次
高脂血症の人は油の種類にも気をつけて
血液中に存在する主な脂質は次の4種類です。
- コレステロールとその脂肪酸エステル
- 中性脂肪
- リン脂質
- 遊離脂肪酸
「水と油」という言葉があるように、脂質は水に溶けにくいです。コレステロールや中性脂肪は血液に溶けません。それでは、どうして脂質が血液によって体内を循環できるのでしょうか?
それは脂質がそのままのかたちで血液中に溶け込むのではなく、たんぱく質で表面を覆われ、小さなリポたんぱくという粒子となって血液中に存在しているからなのです。
脂肪酸を細かく知りましょう
4種類の脂質の一つである脂肪酸は、さらに飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分けることができます。
飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを増やす働きがあり、ラードやヘットなどの獣脂、バター、ヤシ油などは高脂血症の人には好ましくありません。常温で固形状の油脂と思って下さい。
一方の不飽和脂肪酸は、分子組成により一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸にわかれ、多価不飽和脂肪酸は、さらにω-3系とω-6系とに分類されます。
このうち、いわゆる植物油にあたるのが、ω-6系不飽和脂肪酸です。サラダ油やゴマ油、ベニ花油など、リノール酸を含有のものはすべてここに含まれます。
ω-6系不飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを減らす働きのある健康的な油ですが、とりすぎると善玉のHDLコレステロールまで下げるので注意しましょう。
同じ植物油のなかでも、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸を多く含むのがオリーブ油、菜種油などです。これらは先ほどのバターなどのかわりに用いると、脂肪代謝を向上してLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあります。
そして、ω-3系不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)など、青魚に多く含まれる油で、LDLコレステロールや中性脂肪の値を下げ、血液をサラサラにするなどの働きがあります。
これらの脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸を3、一価不飽和脂肪酸を4、飽和脂肪酸を3 ( ω6対ω3=4:1)の割合でとるのが理想です。ただし、比率が適正でも食べ過ぎは、カロリーオーバーになりますのでご注意ください。
中性脂肪の高い人がDHA・EPAを摂取すると 大きく低下!
ω-3系脂肪酸の魚油に含まれるDHAやEPAには動脈硬化の原因である悪玉コレステロールの生成を抑える、中性脂肪を減少させる、高血圧の予防、アレルギーを改善、脳を活性化などに効果があります。
メタボを気にする方にとってはこれほどとって欲しいものは他にありません。
EPA、DHAは、魚の特に脂身に豊富に含まれています。1番多く摂取できるのはお刺身です。煮魚は煮汁に脂肪分が溶け出しますので残さず食べて欲しいですね。焼き魚の場合はできるだけ脂を失わないように照り焼きやムニエル、ソテーなどが良いでしょう。
可食部100gに含まるEPAの含有量比較(約mg)
食品名 | EPA含有量(可食部100gあたり) |
まいわし | 1,300mg |
本まぐろ(トロ) | 1,200mg |
さば | 1,200mg |
まだい(養殖) | 1,000mg |
ぶり(天然) | 900mg |
さんま | 800mg |
さけ | 500mg |
あじ | 400mg |
可食部100gに含まれるDHAの含有量比較(約mg)
食品名 | DHA含有量(可食部100gあたり) |
本まぐろ(トロ) | 2,800mg |
まだい(養殖) | 1,800mg |
ぶり(天然) | 1,700mg |
さば | 1,700mg |
さんま | 1,400mg |
まいわし | 1,100mg |
さけ | 800mg |
あじ | 700mg |
最後に
脂肪酸という言葉だけ聞くと体に取り込まれると脂っぽいような健康に良いものなのかわかりにくいかも知れません。
しかし、この脂肪酸にはコレステロール値を下げたり血液をサラサラにしたり、生活習慣病による病気の予防に大変役立ちます。
これから賢く上手に摂取しましょう!