コレステロールと中性脂肪の違い、知っていますか?
コレステロールは細胞の骨格になるもの、中性脂肪は燃料と考えてください。中性脂肪は脂肪細胞の内部に蓄えられます。
例えば一本の木があるとします。太いところは柱や梁に使います。細かく切れば薪になります。細かく切った薪が中性脂肪、柱になるのがコレステロールと思って下さい。
燃料は蓄えますが、家(細胞)の中に置いて蓄えるもので、家の外側にはあまり置きませんね。要は元は同じ木(脂肪)ですが、用途が違うわけです。
そして、コレステロールも中性脂肪も水、すなわち血液の中にそのまま溶けているのではなく、リポたんぱくという形で血液の中に存在し、体のすみずまで運ばれるわけです。
皮下脂肪と内臓脂肪はどう違う?
格納場所が違うだけで、脂肪としては同じ中性脂肪です。中性脂肪は貯蔵されますが、コレステロールは貯蔵されず、必要な分しか作られません。
健康面で気をつけて欲しいのは特に内臓脂肪です。ただありがたいことに、例えばダイエットなどによって脂肪を減らそうとすると、皮下脂肪よりも内臓脂肪の方が早く落ちてくれるという性質があります。
HDLは高ければ高いほど良い?
HDLが高いと動脈硬化が防げるという意見と、そうではないという意見が各国の研究グループによって異なります。日本では、HDLが高くても動脈硬化になることがまれにあることが報告されています。
でもそれは、HDLコレステロールが100 ㎎/dL以上とかなり高い場合で、あまり一般的ではありません。基本的には正常値内にあることが望ましいとお考えください。
肥満と中性脂肪は直結してないの?
肥満体というと、からだ全体がふっくらと大きく、とくに腹部やお尻がせりだしていて太ももや二の腕も太く、すぐ汗ばんで、冬でも薄着でいるようなイメージがありますよね。
確かにこれらは肥満体の特徴ですが、生活習慣病予防に健康面で問題なのは外形的な容姿のことだけではありません。
このような特徴はお相撲さんなどによくみられます。現役の力士が必ずしも医学的に肥満症と判定されるわけではありません。
ですから見た目よりも健康診断による数値の判定をきちんと受け入れて下さい。肥満とは簡単にいうと、脂肪細胞に必要以上に中性脂肪が蓄えられた状態なのです。
体温を保ったり、仕事や家事などでからだを動かすにはエネルギーが必要です。私たちは食事からそのエネルギー源を毎日補給していますが、補給されて使われなかったエネルギー源は捨てられないで、中性脂肪という保存燃料に変えられて体内に蓄えられます。
この蓄えが積もり積もって在庫過剰状態となったのが肥満です。病気を意味する肥満症は、単に体重が多いというだけではなく、肥満に加えて高脂血症などの検査異常が認められる場合をいいます。
タバコを辞めると太る?
タバコをやめると太るという説は大きな間違いです。タバコを辞めると食事がおいしく感じられるようになって、食欲が増す場合もあるというだけのことです。
タバコには動脈硬化やガン、呼吸器疾患の原因となる有害物質が200種もあります。タバコと縁を切れば肥満も病気も遠ざけることができるのは確かです。
最後に
生活習慣病予防のためには運動療法や食事療法をバランスよく取り入れることが一番です。生活習慣病予防についての知識は決して拡大解釈したり、また、独自の思い込みで判断しないで下さい。
間違った考えでダイエットをしたつもりでいるとかえってリバウンドしてしまい、以前よりも脂肪の量が増えてしまうということが良くあります。きちんと正しい知識を持って生活習慣病と向かい合いましょう。