DHA・EPAには血中の中性脂肪を抑制する効果が認められています。これは多くの医学的な大規模研究からも世界中で確認されており、実際の医療現場でも使用されていることからも明らかです。
DHA・EPAの効果
DHA・EPAの効果が注目を集めることになった要因は、アザラシの肉などを食べて生活しているエスキモーの人たちの心筋梗塞や動脈硬化が非常に少ないことが研究によって分かったことが始まりです。
日本では魚を多く食べる人たちに対する研究で、脳血管疾患や心筋梗塞などの病気が少ないことが研究から明らかになってきました。この2つの共通する点は、アザラシや青魚にはDHA・EPAが含まれる量が豊富であり、その影響で血液環境の改善がされることが分かりました。
EPAやDHAがどのようなメカニズムで効果を示すのか、すべて解明されているわけではありませんが、いくつかのことが分かってきました。その中のひとつが中性脂肪の抑制効果にDHA・EPAが有効であるということです。
中性脂肪とDHA・EPAの関係
中性脂肪というと悪いイメージしかありませんが、適度な中性脂肪は体にとっては必要なエネルギー源となります。そのため単純に中性脂肪の量を減らすだけではなくその質を改善する必要があります。
中性脂肪を一番効果的に減らすには、体の中でエネルギー源として利用させて消費してしまうことです。
たくさん食べても摂取した分を運動などで使ってしまうことで、体の中や血液中に過剰に蓄積することはありません。EPAやDHAがリポタンパクリパーゼ(LPL)という酵素を活性化して、中性脂肪を燃焼し分解を促進してくれるのが一つの理由です。
さらに、体の中では特に肝臓などで食べた糖分などから中性脂肪を合成しています。糖分の取り過ぎが良くないといわれる糖尿病などを引き起こすこともありますが、脂肪の蓄積も促進してしまうこともその理由の一つです。
DHA・EPAにより中性脂肪を抑制
EPAやDHAは体内での脂肪合成を抑制してくれる効果があるとされています。さらに別の理由としてEPAが腸からの脂肪吸収を抑制してくれる働きも持っています。このようなメカニズムでまず、その量的な抑制効果があるとされています。
さらに質的な抑制効果もあります。血液中の脂肪はコレステロールなどいくつもありますが、それらが塊となって血液中に存在しています。よく善玉コレステロールといわれるHDLも悪玉コレステロールといわれるLDLもすべてコレステロールだけでできているわけではありません。その中には中性脂肪も含まれています。
2つの「コレステロール」
- LDL(低比重リポたんぱく、別名:悪玉コレステロール)
肝臓より各細胞へコレステロールを運ぶ働きをします - HDL(高比重リポたんぱく、別名:善玉コレステロール)
余分なコレステロールを回収して肝臓へ戻す働きをします
EPAやDHAには、この塊の質をよくする効果もあります。悪玉コレステロールといわれるLDLですが、その中でも小型LDLは超悪玉コレステロールともいわれてその大きさが小さい分、血管の中などに入り込みやすくなり、酸化もしやすいので体内でより害の多いとされる酸化LDLともなりやすいのです。
さらにこの小型LDLは大型の通常のLDLと比べて血液中に長くとどまりなかなか分解されないという性質も持っています。血液中を流れる時間が長ければそれだけ血管に触れる機会も多くなり、血管に炎症を起こしたりして動脈硬化を促進してしまう可能性が高くなります。
小型LDLがなぜできるかというと、善玉コレステロールであるHDLが中性脂肪のやや多い時に作られてしまうと、そのHDLがLDLと血液中で接触したときにお互いのコレステロールやトリグリセリドを交換します。
HDLは血液中や組織にあるコレステロールなどの脂肪を掃除してくれる役割があるので善玉コレステロールといわれるのですが、コレステロールが多く交換されてLDLの中から減少してしまうことで、小型LDLの超悪玉コレステロールに一気に生まれ変わってしまうのです。
中性脂肪の濃度をはじめに述べたような理由で量的に下げておけば、このような事態を減らせることができるために、二次的に小型LDLの産生を減らす効果もあるのです。
EPA・DHAには、より悪さをしやすい小型LDL減らして通常の大型LDLを増やしてくれる作用も持っています。このように中性脂肪の量的な改善だけでなく、質的な改善ももたらしてくれるのがDHA・EPAなのです。