「コレステロールの高い食事は体に悪いからねぇ・・・」みなさんもこれまでに一度はこのような会話をしたことがおありでしょう。
しかし、みなさんは、最新の医学的な研究によって、今、私達のこのようなコレステロールについての常識がくつがえりつつあることをご存知でしたか?今回は、最新の医学的な研究によって明らかになってきたコレステロールについての新常識についてお話ししていきたいと思います。
では、まずそもそもコレステロールとはいったいどんなものなのか簡単に確認しておきましょう。
目次
コレステロールとは?
コレステロールとは、脂肪の一種で、私達の体の中で次のよう重要な働きをしています。
コレステロールの働き
- 細胞の細胞膜の原料になる
- 各種ホルモンの原料になる
- 胆汁酸の原料になる
このように私達の体内で重要な役割をはたしているコレステロールですが、これまで、過剰に摂取すると、動脈硬化等様々な健康上の問題を引き起こすと考えられてきました。
ところが、最新の医学的な研究によって、実は、食事から摂取されるコレステロールの量と血中コレステロールの量はほとんど関係がないことが解ってきたのです。では、詳しくみてみましょう。
食事から摂取されるコレステロールの量と血中コレステロールの量はほとんど関係がなかった!
アメリカやヨーロッパでおこなわれた様々な研究によって、以前から食事から摂取されるコレステロールの量と血中コレステロールの量はあまり関係がないことが示唆されていました。
そして、これらの研究に則って、2013年にアメリカ心臓病学会等が「心血管疾患リスク低減のための生活習慣マネジメント」(心臓病予防のためのガイドライン)にコレステロールの摂取制限を盛り込むのをみあわせ、また、2015年には、アメリカ農務省とアメリカ保健福祉省もコレステロールの摂取制限についてその撤廃の方針を固めました。
そして、この流れを汲んで、日本においても、厚生労働省が、「日本人の食事摂取基準2015年度版」から、コレステロールの摂取制限を撤廃しました。(追記:その後、アメリカ農務省とアメリカ保健福祉省もコレステロールの摂取制限を撤廃しました)
コレステロール量が比例しない理由
では、なぜ、食事から摂取されるコレステロールの量と血中コレステロールの量はあまり関係がないのでしょうか?その理由は次の2つにあります。
- そもそも、血中コレステロールの8割は体内で合成されたもので、食事から摂取されたコレステロールは2割程度にすぎないこと。
- 私達の体には、コレステロールを過剰に摂取した場合、その吸収を抑えたり、体内での合成を減らしたりして、血中のコレステロールの量を一定に保つ機能が備わっていること。
以上の理由から食事から摂取されるコレステロールの量と血中コレステロールの量はあまり関係がないとされています。
では、コレステロールの摂取制限があまり意味がないとして、私達はどうしたら血液中のコレステロールの量を適切にコントロールすることができるのでしょうか?
血中のコレステロールを適切に管理して、動脈硬化を予防するには?
まず、確認しておかなければならないのは、血中の悪玉コレステロールの量が多く、善玉コレステロールの量が少ないと、動脈硬化を進行させ、動脈硬化性疾患のリスクを高めることは医学的に確認されているということです。
ては、私達は、どのような食事をすれば、血中のコレステロールを適切に管理し、動脈硬化を予防することができるのでしょうか?この点で参考になるのが日本動脈硬化学会が推奨している”塩抜きの伝統的な日本食”です。
塩抜きの伝統的な日本食が優れている4つのポイント
1.魚が多く使われている(特に青魚にはDHA・EPA等の動脈硬化予防に効果的なオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれています)
2.納豆・味噌等大豆・大豆製品が豊富である
3.野菜・海藻類・果実が豊富である
4.脂肪のバランスが取れている
まとめ
いかがだったでしょうか?
健康な人なら食品に含まれているコレステロールの量をそれほど気にするに必要はありませんが、やはり生活習慣病の予防には食生活が重要なことには変わりありません。
みなさんも、是非、”塩抜きの伝統的な日本食”を実践なさって、動脈硬化の予防に努めてみられてはいかがでしょうか?